はじめに
2025年4月から小規模の木造建築物の柱の小径(令第43条関連)の基準が変わります。
柱の小径と柱の有効細長比を検討する必要があります。
次は、柱の小径の計算を確認します。
↓この本も参考にしています。
柱の小径の基準の見直し
「軽い屋根」「重い屋根」の区分に応じて柱の小径を算定していましたが、 仕様の実況に応じた柱の小径を算定します。
算定方法は、3つ
●早見表(柱の小径を容易に把握できる試算例)
●表計算ツール(諸元を入力することで、柱の小径や柱の負担可能面積を容易に算定)
●算定式により、柱の小径を算定
試算例(早見表)、表計算ツールは日本住宅・木材技術センターHPにおいて公開しています。
URL:https://www.howtec.or.jp/publics/index/411/

柱の小径とは
柱の小径とは、柱の断面寸法のことをいいます。
柱は細長いほど座屈しやすくなるため、柱の小径の最低限度等が定められています。
横架材相互間の垂直距離とは、2階建ての場合、土台の上端から2階床ばり・胴差の下端までの寸法、2階床ばり・胴差の上端から小屋ばり・軒げたの下端までの寸法をいいます。

柱の小径 計算方法① 算定式
各階の柱の小径が、横架材相互間の垂直距離に応じて、算定式による割合以上であることを確認します。
建築基準法施行令第43条第1項の国土交通大臣が定める割合は、次の式によって計算した割合とします。
de/L=0.027+22.5Wd/L^2
de:柱の小径(単位:mm)
L:横架材の相互間の垂直距離(単位:mm)
Wd:当該階が負担する単位面積当たりの固定荷重と積載荷重の和(単位:N/m2)

柱の小径を求めるために、式を変形させます。
de={0.027+22.5Wd÷(LxL)}xL
仮にWd=4.5KN/m2、L=2680mmとすると
de={0.027+22.5x4.5/1000÷(2680x2680)}x2680=72.36mm
柱の小径は72.4mm以上あれば、問題ないことが確認できました。
柱の小径 計算方法② 表計算ツール
算定式と有効細長比より柱の小径を求める場合
『座屈の検討により算出した柱の必要小径(㎜)』と『柱の有効細長比より算出した柱の必要小径(㎜)』を比較して大きい方を採用します。変数は下記のとおりです。

変数 | 変数の意味 | ||||||
de | 柱の必要小径(㎜) | ||||||
dbe | 座屈の検討により算出した柱の必要小径(㎜) | ||||||
dse | 柱の有効細長比より算出した柱の必要小径(㎜) |
柱の有効細長比の検討による柱の必要小径dseの算出方法(オイラー式)

計算例数値 | 変数 | 変数の意味 | ||||||
2680 | L | 横架材間距離(㎜)。 |
dse=√12×2680÷150=62
柱の座屈の検討による柱の必要小径dbeの算出方法
柱の細長比に応じて、3つの条件式から算出する。



計算例数値 | 変数 | 変数の意味 | ||||||
4.31 | Wd | 床面積当たりの荷重(N/ ㎜2)。外周部の柱の単位面積あたりの負担荷重Wdoi | ||||||
5 | Ae | 荷重の負担面積(㎜2)。5.0m2と仮定 | ||||||
2680 | L | 横架材間距離(㎜)。 | ||||||
17.7 | Fc | 柱材の圧縮の基準強度(N/㎜2)。無等級材、すぎの圧縮の基準強度17.7N/㎜2 |
■上記計算式に計算例数値を代入し、①、②、③を計算します。
① | ② | ③ | 条件式 | dbe | dse | 採用 |
L/52.70 | L/8.66 | √wdAe/(1.1/3・Fc) | 座屈計算 |
有効細長比 |
||
51 | 309 | 58 | ③>② | 58 | 62 | 98 |
①<③<② | 98 | |||||
③<① | 99 |
①<③<②なので、dbe=98、dse=62の大きい方を採用し、柱の小径は98以上となります。
最後に
今回は、柱の小径について計算しました。
どうだったでしょうか。掛け算や割り算、ルートで計算できたので簡単だったのではないでしょうか。
次回は、柱の負担可能面積について計算します。