【2025年法改正】木造 初めての壁量計算②-1(存在壁量編ー耐力壁のみ)

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はじめに

地震力や風圧力に耐えるために配置した耐力壁の量を存在壁量と言います。

存在壁量は各階のX方向とY方向ごとに求めます。

壁倍率とは、耐力壁の強さを分かりやすく表す数値で、倍率が大きいほど強い耐力壁を表します。

↓この本も参考にしています。

存在壁量の法改正

耐力壁の壁倍率について、上限倍率が5倍➡7倍に変更となります。
また、準耐力壁等の算入が可能となります。

2025年基準より、準耐力壁等の壁量は、基本的に、各階・各方向の必要壁量の1/2以下の範囲で、任意に算入することができます。
設計者の判断で、準耐力壁等を含めるか・含めないかを決めることができます。

※引用元:国土交通省

存在壁量の算出

平面図から、耐力壁・準耐力壁等の壁倍率と長さを拾い出し、各階・各方向の存在壁量を算出します。

計算式

耐力壁の種類と壁倍率は昭56建告第1100号に示されています。
壁倍率1は、許容せん断耐力では1.96KN/mに相当します。

まずは、経過措置でも対応できるように耐力壁だけの存在壁量を算出します。


2階の耐力壁のみで存在壁量を計算します。

2階X方向
2階Y方向

2階X方向の存在壁量は、赤Aが壁倍率2倍x長さ910cm。緑Aが壁倍率2倍x長さ136.5cm。

2階Y方向の存在壁量は、赤Aが壁倍率2倍x長さ819cm。緑Bが壁倍率4倍x長さ182cm。

方向 壁記号 壁倍率 長さ(cm) 耐力壁(cm) 存在壁量(cm)
①x②=③ 合計
2 X A 2.00 910.00 1,820.00 2,093.00
2.00 136.50 273.00
2 Y A 2.00 819.00 1,638.00 2,366.00
B 4.00 182.00 728.00

1階の耐力壁のみで存在壁量を計算します。

1階X方向
1階Y方向

1階X方向の存在壁量は、赤Aが壁倍率2倍x長さ637cm。茶Aが緑Aが壁倍率2倍x長さ136.5cm。
緑Bが壁倍率4倍x長さ364cm。桃Bが壁倍率4倍x長さ273cm。

1階Y方向の存在壁量は、赤Aが壁倍率2倍x長さ910cm。緑Bが壁倍率4倍x長さ546cm。

方向 壁記号 壁倍率 長さ(cm) 耐力壁(cm) 存在壁量(cm)
①x②=③ 合計
1 X A 2.00 637.00 1,274.00 4,095.00
2.00 136.50 273.00
B 4.00 364.00 1,456.00
4.00 273.00 1,092.00
1 Y A 2.00 910.00 1,820.00 4,004.00
B 4.00 546.00 2,184.00

以上より、存在壁量が求まりました。

次は、前回求めた必要壁量と存在壁量を比較します。

壁量判定結果(基準法)

各階・各方向で、存在壁量 ≦ 必要壁量 であることを確認します。

一つでも不適合の場合は、耐力壁・準耐力壁等の量と配置を見直し、再計算を行い確認します。
今回は、耐力壁のみでも必要壁量と比べ、存在壁量が多いので地震力や風圧力に対して安全だとわかりました。

方向 存在壁量 記号 必要壁量 必要壁量 判定
(地震力) (風圧力)
2 X 2,093.00 1,431.00 952.00 OK
2 Y 2,366.00 1,431.00 952.00 OK
1 X 4,095.00 2,699.97 2,552.50 OK
1 Y 4,004.00 2,699.97 2,051.00 OK

最後に

今回は壁量計算の耐力壁のみで存在壁量を計算しました。

どうだったでしょうか。掛け算や割り算、足し算で計算できたので簡単だったのではないでしょうか。

次回は、壁量計算の存在壁量に準耐力壁等を含めて計算します。

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