【2025年法改正】木造 初めての壁量計算②-2(存在壁量編ー準耐力壁等含む)

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はじめに

2025年基準より、準耐力壁等の壁量は、基本的に、各階・各方向の必要壁量の1/2以下の範囲で、任意に算入することができます。

国交省のサンプルプランでは耐力壁の存在壁量のみで必要壁量を満足していますが、準耐力壁等の壁倍率も計算してみましょう。

↓耐力壁の計算はこちら

↓この本も参考にしています。

準耐力壁の算出

準耐力壁等には、「準耐力壁」と「垂れ壁・腰壁」の2つがあり、基準や壁倍率は以下のと
おりです。

※引用元:国土交通省

【手順】
①開口部の高さを確認します。
②下地貼材全高を確認します。一般的には 天井高さに該当します。
③面材高さの合計を求めます。『 面材の高さの合計』=『下地貼材全高』ー『開口部の高さ』
④準耐力壁等の壁倍率、採用倍率を算出します。


国交省のサンプルプランでは開口部がないところに、準耐力壁を設けているため開口高さは0となります。
下地貼材高さ⑦は240cm、開口が無いので垂壁高さ⑧は240cm、腰壁高さ⑨は0になります。
面材の計算式に当てはめて、有効壁倍率を計算した結果を下記一覧表に示しています。

壁記号 材種名 基準倍率 係数 開口高さ(cm) 取付高さ(cm) 下地貼材高さ(cm) 垂壁高さ(cm) 腰壁高さ(cm) 下地貼材実高さ(cm) 横架材間内法寸法(cm) 有効壁倍率
⑧+⑨=⑩ ③x④x⑩÷⑪
a 石膏ボード 0.9 0.6 0 0 240.0 240.0 0 240.0 284.4 0.45
b 石膏ボード 0.9 0.6 0 0 240.0 240.0 0 240.0 273.0 0.47

存在壁量の算出

準耐力壁等の有効壁倍率が求まったら平面図から、耐力壁・準耐力壁等の壁倍率と長さを拾い出し、各階・各方向の存在壁量を算出します。

計算式

耐力壁の種類と壁倍率は昭56建告第1100号に示されています。壁倍率1は、1.96KN

準耐力壁の種類と壁倍率は昭56建告第1100号に示されています。


2階の存在壁量を計算します。

2階X方向
2階Y方向

2階X方向の存在壁量は、赤Aが壁倍率2倍x長さ910cm。緑Aが壁倍率2倍x長さ136.5cm。
青bが壁倍率0.47x長さ637cm。紫bが壁倍率0.47x長さ136.5cm。

2階Y方向の存在壁量は、赤Aが壁倍率2倍x長さ819cm。緑Bが壁倍率4倍x長さ182cm。
青bが壁倍率0.47x長さ819cm。

方向 壁記号 壁倍率 長さ(cm) 耐力壁(cm) 準耐力壁(cm) 存在壁量(cm)
①x②=③ ①x②=④ ③+⑤
2 X A 2.00 910.00 1,820.00   2,456.55
2.00 136.50 273.00  
b 0.47 637.00   299.39
0.47 136.50   64.16
2 Y A 2.00 819.00 1,638.00   2,750.93
B 4.00 182.00 728.00  
b 0.47 819.00   384.93

1階の存在壁量を計算します。

1階X方向
1階Y方向

1階X方向の存在壁量は、赤Aが壁倍率2倍x長さ637cm。茶Aが緑Aが壁倍率2倍x長さ136.5cm。
緑Bが壁倍率4倍x長さ364cm。桃Bが壁倍率4倍x長さ273cm。
青bが壁倍率0.45x長さ364cm。紫bが壁倍率0.45x長さ273cm。

1階Y方向の存在壁量は、赤Aが壁倍率2倍x長さ910cm。緑Bが壁倍率4倍x長さ546cm。
青bが壁倍率0.45x長さ1092cm。紫bが壁倍率0.45x長さ136.5cm。

方向 壁記号 壁倍率 長さ(cm) 耐力壁(cm) 準耐力壁(cm) 存在壁量(cm)
①x②=③ ①x②=④ ③+⑤
1 X A 2.00 637.00 1,274.00   4,381.65
2.00 136.50 273.00  
B 4.00 364.00 1,456.00  
4.00 273.00 1,092.00  
a 0.45 364.00   163.80
0.45 273.00   122.85
1 Y A 2.00 910.00 1,820.00   4,556.83
B 4.00 546.00 2,184.00  
a 0.45 1,092.00   491.40
0.45 136.50   61.43

以上より、存在壁量が求まりました。

各階・各方向において、準耐力壁等の存在壁量が必要壁量の1/2 以下であることを確認します。

方向 必要壁量 準耐力壁等 B/A 判定
A B C C<1/2
2 X 1,431.00 363.55 0.26 OK
2 Y 1,431.00 384.93 0.27 OK
1 X 2,699.97 286.65 0.11 OK
1 Y 2,699.97 552.83 0.21 OK

準耐力壁等の存在壁量が必要壁量の1/2以下であることが確認できたので
次は、前回求めた必要壁量と存在壁量を比較します。

壁量判定結果(基準法)

各階・各方向で、存在壁量 ≦ 必要壁量 であることを確認します。

一つでも不適合の場合は、耐力壁・準耐力壁等の量と配置を見直し、再計算を行い確認します。
必要壁量と比べ、存在壁量が多いので地震力や風圧力に対して安全だとわかりました。

方向 存在壁量 記号 必要壁量 必要壁量 判定
(地震力) (風圧力)
2 X 2,456.55 1,431.00 952.00 OK
2 Y 2,750.93 1,431.00 952.00 OK
1 X 4,381.65 2,699.97 2,552.50 OK
1 Y 4,556.83 2,699.97 2,051.00 OK

最後に

今回は壁量計算の耐力壁と準耐力壁等で存在壁量を計算しました。

どうだったでしょうか。掛け算や割り算、足し算で計算できたので簡単だったのではないでしょうか。

次回は、壁量計算の四分割法について計算します。

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