はじめに
壁量計算とは何か?家の設計をするときに、木造平家・2階建て、延べ面積500m2以下の建物は、4号建築物と言って、構造計算の提出を省略してよい建物となります。
その代わりに壁量計算、壁配置バランス、柱頭・柱脚金物の選択、の3つを検討して、建物が構造上安全であることを確認します。それが壁量計算、四分割法・偏心率、N値計算となります。
これは構造計算をするより簡易な計算方法で構造に関する事をチェックできるようになっています。
壁量計算って、ものすごく難しいのではと考えているあなた、この計算は高校数学ができれば簡単にできます。
今回はその壁量計算の必要壁量について計算していきます。
↓この本も参考にしています。
壁量計算用床面積(基準法)
壁量計算用の床面積は、大きく2つの方法に分かれます。基準法の壁量計算と性能表示に基ずく壁量計算です。
今回は基準法の必要壁量について計算していきましょう。
左図は1階平面図の外周部に耐力壁を配置した『1階耐力壁平面図』になります。こちらの壁量計算用床面積を求めていきます。
右図が壁量計算用の1階床面積図となります。
壁量計算用の床面積は8m×7m=56㎡となります
左図は2階平面図の外周部に耐力壁を配置した『2階耐力壁平面図』になります。こちらの壁量計算用床面積を求めていきます。
右図が壁量計算用の2階床面積図となります。
壁量計算用の床面積は8m×5m+3mx2m=46㎡となります。
必要壁量(地震力)
床面積が求まったら、まずは地震力に対して必要な耐力壁の量を計算します。
先ほど求めた壁量計算用床面積に地震力用係数を掛けます。今回は軽い屋根を採用します。
軽い屋根 (スレートなど) | 重い屋根 (瓦など) | |
2階 | 15 | 21 |
1階 | 29 | 33 |
平屋 | 11 | 15 |
床面積 (㎡) | 地震力用係数 (cm/㎡) | 必要壁量 (cm) | |
階 | ① | ② | ①x② |
2 | 46 | 15 | 690.00 |
1 | 56 | 29 | 1,624.00 |
地震力による必要壁量が求まりました。
次に風圧力に対して必要な耐力壁の量を計算しますが、風圧力については、建物の見付面積を計算する必要があります。
建物の見付面積
見付面積はX方向とY方向それぞれの面積を求めます。面積は垂直投影面積で、各階の床面の高さから1.35m以下の部分を除いた面積を求めます。イメージとしては、風が建物を押す範囲になります。
つまり、X方向の見付面積は、下パース図でいうと1階はイエロー部分+ピンク部分、2階はピンク部分になります。
Y方向の見付面積は、下パース図でいうと1階はイエロー部分+ピンク部分、2階はピンク部分になります。
必要壁量(風圧力)
見付面積が求まりましたので、風圧力に対して必要な耐力壁の量を計算します。
先ほど求めた見付面積に風圧力用係数を掛けます。今回はその他地域を採用します。
特定行政庁が特に強い風が吹くと定めた地域 | 51~75 |
その他の地域 | 50 |
階 | 方向 | 見付面積 (㎡) | 風力用係数 (cm/㎡) | 必要壁量 (cm) |
① | ② | ①x② | ||
2 | X | 15.83 | 50 | 791.50 |
2 | Y | 19.59 | 50 | 979.50 |
1 | X | 36.70 | 50 | 1,835.00 |
1 | Y | 43.36 | 50 | 2,168.00 |
風圧力による必要壁量が求まりました。
最後に
今回は壁量計算の必要壁量について計算しました。
どうだったでしょうか。掛け算や割り算、足し算で計算できたので簡単だったのではないでしょうか。
次回は、壁量計算の存在壁量について計算します。