建築知識!!はじめての木造省エネ!!外皮計算ってなに?

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はじめに

省エネ基準とは、建築物が備えるべき省エネ性能確保のために必要な建築物の構造及び設備に関する基準で、一次エネルギー消費量基準(設備による手法)と外皮基準(建築による手法)からなります。

ここでは木造住宅の外皮基準について紹介します。

外皮計算とは

外皮計算とはその住宅の断熱性能がどのくらいであるかを計算することです。
家の各部位(屋根・壁・基礎・開口部)から逃げる熱を合計し、外側を覆う面積で割ることで単位面積当たりの熱が逃げる量を計算します。

3つの評価方法

評価方法には3つある。

1.標準計算ルート:パソコン等で行う評価方法
2.簡易計算ルート:パソコン等で行う簡易な評価方法
3.仕様ルート:仕様で判断する評価方法

ここでは標準計算ルートについて紹介します。

標準計算ルート

標準計算ルートでは、外皮平均熱貫流率(UA値)と平均日射熱取得率(ηA値)を計算して求めます。
そして、平均日射熱取得率には冷房期(ηAC値)と暖房期(ηAH値)があり、両方検討する必要があります。

外皮平均熱貫流率(UA値)

建物からの熱の逃げやすさを表しており、値が小さいほど良い。

①部位ごとに外皮表面積×温度差係数×熱貫流率=外皮熱損失量を求めます。
部位は屋根・天井、外壁、開口部、床、基礎があり、部位ごとに計算します。
外皮熱損失量を合計します。
外皮表面積を合計します。
外皮熱損失量(合計)÷外皮表面積(合計)=外皮平均熱貫流率 (UA値) が求まります。

平均日射熱取得率 (ηイータA値)

夏の太陽の熱がどのくらい入りにくいかを表しており、値が小さいほど良い。

①部位ごとに外皮表面積×方位係数×日除けの効果係数×日射熱取得率=日射熱取得量を求めます。
部位は屋根・天井、外壁、ドア、があり、部位ごとに計算します。
日射熱取得量を合計します。
外皮表面積を合計します。
日射熱取得量(合計)÷外皮表面積(合計)×100=平均日射熱取得率(ηA値) が求まります。

暖房期と冷房期で計算方法は同じですが、「方位係数」「日除けの効果係数」「取得日射補正係数」が異なります。

UA値とηAC値が地域に応じた基準値以下になることを確認し、計算終了となります。

その他の省エネ等級

①断熱等性能等級:外皮の省エネルギー性能を評価したもの。夏は涼しく冬は暖かい家かどうかを可視化したもの。
等級は1~4まであり、高くなるほど断熱性能がアップする。
等級4=平成28年の省エネ基準
等級3=平成4年の省エネ基準
等級2=昭和55年の省エネ基準
等級1=それ以下

②HEAT20:団体の呼称で「2020年を見据えた住宅の高断熱化技術開発委員会」の英略です。
G1~G3まであり、高くなるほど断熱性能が優れています。
G1=北海道や東北の一部(地域区分1,2)でおおむね13℃を下回らない。沖縄を除くそれ以外の地域(地域区分3~7)でおおむね10℃を下回らない。
G2=北海道や東北の一部(地域区分1,2)でおおむね15℃を下回らない。沖縄を除くそれ以外の地域(地域区分3~7)でおおむね13℃を下回らない。
G3=すべての地域でおおむね15℃を下回らない。

③ZEH(ゼッチ):ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス:室内環境の質を維持しつつ省エネルギー基準比20%以上を実現し、再生可能エネルギー等を導入して、年間の一次エネルギーの収支をゼロとすることを目指した住宅。

最後に

省エネ基準で木造住宅の外皮基準について紹介しました。

パリ協定の約束草案の達成に向けた、各部門のエネルギー起源CO2 の排出量の目安で「住宅・建築物分野」の2030 年度におけるCO2 排出量の削減率は40%です。

住宅の設計・施工技術者も省エネルギー化のための適正な技術習得が求められているので、省エネ基準に適合した住宅性能を目指しましょう。

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