木造 初めての壁量計算③(四分割法編)

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はじめに

壁量計算にて存在壁量必要壁量より多いことが確認できれば、次は壁配置バランスをチェックします。

壁配置バランスのチェックには、四分割法と偏心率のどちらかで確認する必要があります。

今回は四分割法について計算していきます。

↓この本も参考にしています。

四分割法とは

各階X方向とY方向に4等分割し、その両端部分(1/4側端部分)の存在壁量と必要壁量を計算し、存在壁量を必要壁量で除した数値(壁量充足率)が1を超えればOKとなる。

壁量充足率が1以下の場合は、壁量充足率の小さい方を大きい方で除した値(壁率比)が、0.5以上であることを確認する。


つまり、
壁量充足率>1.0

または、

存在壁量/必要壁量=壁量充足率(大)
存在壁量/必要壁量=壁量充足率(小)
壁率比=壁量充足率(小)/壁量充足率(大)≧0.5

壁配置バランス計算(四分割法)

まず、各階のX方向とY方向で両端から1/4の範囲内にある存在壁量と必要壁量を求めます。

そして、両端の1/4部分を側端部分という。

計算式は、
側端部の必要壁量=側端部の床面積×地震力用係数
側端部の存在壁量=『長さ×壁倍率』の合計

それでは、計算していきましょう。


左図の赤枠部分がX方向1階側端部の床面積を表しており、
X方向1階上側:8m×1.75m=14㎡(a,b,c)
X方向1階下側:8m×1.75m=14㎡(g,h,i)
となります。

右図の赤枠部分がX方向1階側端部の耐力壁を表しており、
X方向1階上側:1m×2.5倍×5カ所
X方向1階下側:1m×2.5倍×4カ所

X方向 1階耐力壁

左図の赤枠部分がX方向2階側端部の床面積を表しており、
X方向2階上側:8m×1.75m=14㎡(j,k,l)
X方向2階下側:3mx1.75m=5.25㎡(q,r)
となります。

右図の赤枠部分がX方向2階側端部の耐力壁を表しており、
X方向2階上側:1m×2.5倍×8カ所
X方向2階下側:1m×2.5倍×3カ所

X方向 2階耐力壁

左図の赤枠部分がY方向1階側端部の床面積を表しており、
Y方向1階左側:7m×2m=14㎡(a,d,g)
Y方向1階右側:7m×2m=14㎡(c,f,i)
となります。

右図の赤枠部分がY方向1階側端部の耐力壁を表しており、
Y方向1階左側:1m×2.5倍×7カ所
Y方向1階右側:1m×2.5倍×5カ所

Y方向 1階耐力壁

左図の赤枠部分がY方向2階側端部の床面積を表しており、
Y方向2階左側:5m×2m=10㎡(j,m,l)
Y方向2階右側:7mx2m=14㎡(l,p,r)
となります。

右図の赤枠部分がY方向2階側端部の耐力壁を表しており、
Y方向2階左側:1m×2.5倍×3カ所
Y方向2階右側:1m×2.5倍×5カ所

Y方向 2階耐力壁

以上の数値より計算結果をまとめて壁量充足率を求めていきます。

壁倍率長さ
(cm)
個所数存在壁量
(cm)
1/4床面積地震力用係数
(cm/㎡)
必要壁量
(cm)
壁量充足率判定
方向A=①x②x③B=④x⑤A/B両側共>1
1X上側2.510051,250.0014.0029406.003.08
下側2.510041,000.0014.0029406.002.47
2X上側2.510082,000.0014.0015210.009.53
下側2.51003750.005.251578.759.53
1Y左側2.510071,750.0014.0029406.004.32
右側2.510051,250.0014.0029406.003.08
2Y左側2.51003750.0010.0015150.005.00
右側2.510051,250.0014.0015210.005.96
壁配置バランスチェック一覧(壁量充足率)

壁量充足率が求まりました。今回は、壁量充足率>1.0だったので、バランスは安全だと言えます。

参考に壁率比もチェックしてみましょう。壁率比=壁量充足率(小)/壁量充足率(大)≧0.5

壁量充足率壁率比判定
方向A/B壁量充足率(小)/壁量充足率(大)≧0.5
1X上側3.08計算式:2.47/3.08=0.80
下側2.47(0.80)
2X上側9.53計算式:9.53/9.53=1.00
下側9.53(1.00)
1Y左側4.32計算式:3.08/4.32=0.71
右側3.08(0.71)
2Y左側5.00計算式:5.00/5.96=0.84
右側5.96(0.84)
壁配置バランスチェック一覧(壁率比)

壁率比も全て0.5以上だったので、バランスは安全です。

最後に

今回は壁配置バランスについて、四分割法を計算しました。

どうだったでしょうか。掛け算や割り算、足し算で計算できたので簡単だったのではないでしょうか。

もし、壁配置バランスチェックで『不適』になった場合は、偏心率という計算方法で確認することが可能です。偏心率で『適』の判定になれば、四分割法で不適』でもバランスは安全ということになります。

次回は、壁量計算の偏心率について計算します。

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